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子どもの問題行動をつくりだしているものは何か?

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.226


Introduction

子どもの問題行為は親へのSOSサインとも言われますが、「なぜそんなことをしたのか」「何に困っているのか」と聞いても、子どもは自分がどんな状態なのかをうまく表現できないことが多く、本当の原因をつきとめるのは容易なことではありません。そして、親が“困った子ども”だと認識していることで、その子はさらに問題をつくりだす可能性さえもあるのです。

今回ご紹介する実証例は、息子の問題行動に悩んでいたある母親(仮称Aさん 40代 兵庫県)が、ミロスシステムに出合い、親が子ども時代に抑圧したものを子どもが表現しているという仕組みを知り、子どもの見方が変わるにつれ、息子の様子も変わっていったという体験です。

問題を繰り返す子どもに困っている…という方のヒントになれば幸いです。

『子どもの問題行動をつくりだしているものは何か?』

息子の問題行動

Aさんが息子の問題行動を知ったのは、彼が小学2年生の時でした。ある日、学校の担任から連絡があり、友だちの筆箱から中身だけを抜き取り、筆箱をトイレに放置したというのです。

それまで、息子は順調に成長していると思っていただけに、Aさんにとってはあまりにも唐突な出来事で信じられず、どうしていいのかわかりませんでした。子どもと一緒に担任に謝り、夫と相談して、息子が二度と同じ事をしないよう、その対応策としてお小遣いを与えることにしました。

それから何事もなく月日が流れ、息子が小学校の高学年になった時でした。自分の小遣いでは到底買えない物を持っていることがわかったのです。

何度問いただしても「お金を拾った。それで買っていた」と息子は言い続けました。仮に、息子の言う通りだとしても、まだ小学生の子どもが数か月の間に10万円近くの品物を買えるという感覚がAさんには信じられず、それ以来、息子のことがわからなくなり、恐ろしく感じるようになりました。

三度目が発覚

そして、彼が中学生の時、三度目が発覚しました。Aさんが実家から預かっていた大切なお金を、息子がいくらか抜いていたことがわかったのです。この時ばかりは言い訳を聞く気にもなれず、情けなさと怒りで頭が混乱し、「今度やったら、あなたを殺してお母さんも死ぬから!」と叫びながら、息子を殴ったそうです。

外で同じ事をしたら警察沙汰になってもおかしくない出来事に、Aさんは心底落ち込み、息子を産んだことさえ後悔したと言います。そして、その日から、息子が将来犯罪者になるのではないかという不安につきまとわれるようになりました。

その後、家の中は普段どおりの生活を取り戻しますが、Aさんの心の中は息子への不信感と、わが子を疑う自分への罪悪感でいっぱいでした。

理想の子ども像

しかし、ミロスシステムに出合い、子どもを通して自分を知るという全く新しい“見方”を知った彼女は、その苦しみから解放されていくのです。

Aさんには“理想の子ども像”というものがあり、わが子には純真無垢で天真爛漫、素直で健康ではつらつとした子どもになってもらいたいと思っていました。しかし、その理想を見事にぶち壊してくれた息子こそ、彼女が子ども時代に抑圧したものを演じて見せてくれていたのです。

いったい何を抑圧していたのでしょうか。Aさんの子ども時代に遡ります。

自分らしさを封印した子ども時代

まだ小さかった頃、Aさんは、近所の男の子たちと毎日のように走り回って遊ぶお転婆な女の子でした。まさに彼女が理想とする純真無垢で天真爛漫な子どもでした。

しかし、ある日、遊び仲間の男の子から、そんな自分を否定されるようなことを言われて傷つき、その日から自分らしさを封印し、今までとは真逆の地味で目立たない子ども時代を過ごすようになりました。

そして、教育者の両親のもと規律正しく育てられた彼女は、納得いかないことがあっても親に逆らうこともなく、特に厳しかった母の言うとおりにしていました。行きたくもないお稽古事にも通い続け、欲しいものがあっても我慢しました。

学校でも自分をどう表現していいのかわからず、嫌なことがあっても何も言えずに辛抱していたというAさんは、家の中でも外でも、自分の本音を隠し、表に出せない感情や欲求を自分の中にしまい込んで生きていたのです。

つまり、彼女の理想の子ども像とは、彼女がなりたかったイメージであり、わが子を理想の子どもに育てることで自分の“失われた子ども時代”を取り戻そうとしていたのです。

子どもに押し付けていた?

また、Aさんは子供の頃、母の“世間体を気にするところ”や、“自分の意見を人に押し付ける頑固さ”を嫌っていましたが、自分も息子に「放課後、一人で家にいるのは不健康だから」と言って、無理やり部活をさせたり、他にも“子どものために良かれ”と思っていろんなことを押し付けていたのかもしれません。

なぜなら、親を反面教師にしても、自分が親になった時、自分がされたように子どもを育ててしまうからです。

そして、Aさんが子ども時代に感じていたように、息子も、自分の意見や思いを親に汲み取ってもらえないことに不満を持っていたのではないでしょうか。また、いけない事をした自分に罪悪感を持ち、母のまなざしに自分に対する“不信感”を感じ、親の愛情を受け取れなくなっていたのではないでしょうか。

子どもの行動をどう読み解くか

いくらAさんが子どもの話をちゃんと聴いていると思っていても、家族が触れ合う機会を設けていても、目には見えない欠乏感を、息子は「欲しい」という欲求のままにものを盗ることで埋め合わせていたのでしょう。

また、嘘をついて部活動をサボる、何をしても長続きしないなど、Aさんにとっては“残念な行動”でも、実はそこに彼女が子ども時代に抑圧した、親への強烈な反抗心や欲求が現れていたのです。

子どもの問題行動を咎め、子どもを矯正しようとするよりも、子どもの行動をどう読み解くかによって、親子が共に心の奥に抱えているものを溶かしていくことができます。

息子か変わった

Aさんは、新しい見方ができるようになってから、息子に対する恐怖も将来の不安も消え、「絶対に許せない」という思いも消えていきました。そして、彼女が息子を問題視しなくなると、息子も変わっていきました。

不信な行動もなくなり、笑顔でいることが増え、今では、高校の友達と同好会を立ち上げ好きなことに打ち込む、活き活きとした毎日を送っているようです

(終わり)

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