誰にでも、職場に一人や二人は苦手な人がいるのではないでしょうか。人間関係がうまくいかないと仕事がはかどらないばかりか、会社に行くのも嫌になってきます。しかし、どんなに関係性が悪くても、目の前の相手に“感じるもの”は自分の知らない無意識であり、その無意識が人間関係の元になっているという“メカニズム”がわかれば、自ずと関係性は修復していきます。

今回ご紹介する実証例は、入社直後から同じ部署の人間に執拗な嫌がらせを受けていたある男性（Fさん・40代）が、なぜ自分がそんな目に遭うのか…その“メカニズム”を理解しただけで、嫌な相手が別人のように変わり、彼にとって最高の職場環境に変容した体験です。

『嫌な人間のいる職場が、メカニズムを知ることで最高の環境に変わる』

職場での執拗な嫌がらせ

個人事業を営んでいたFさんが、現勤務先の社長から熱烈なオファーを受けて社員になったのは、昨年の11月のことでした。仕事では社長の期待どおりの結果を出していましたが、すべてが順調というわけではありませんでした。実は入社当初から、ある一人の男性社員（仮称Aさん）から執拗な嫌がらせを受けていたのです。

Aさんは言葉や態度でFさんに対する嫌悪感を露骨に表現し、時々、業務妨害とも思えるような不可解な要求をしてきました。周りにいる従業員たちも心配するほどAさんの悪態は酷く、Fさんも黙っていられなくなり、毎日のように二人は言い争っていました。

本当の感情を知る

しかし、ミロスシステムにより、相手に“感じるもの”が、実は“自分の無意識”であり、その無意識がこのような最悪な状況をつくりだしていることを知ったFさんは、さっそくAさんに噴き出す“怒りの感情”をじっくりと味わうことにしたのです。

「僕はAさんの何に怒っているのだろうか…」「彼の何に抵抗しているのだろうか…」

すると、怒りの奥に隠れた“本当の感情”が見えてきました。

「僕を枠にはめようとするな！」「自由にさせてくれ！」

Fさんは、Aさんの言動に怒っていたのではなく、“枠にはめられる不自由さ”に抵抗していたことを知りました。そして、それは、この会社の社長から正社員のオファーを受けた際に、彼がもっとも懸念した事でした。

“いつも自由がなく、枠にはめられる”

実はFさんには、過去に約8年間のサラリーマン経験があり、“いつも自由がなく、枠にはめられる”窮屈さを感じていました。そして、収入面でも毎月決まった給料の額面に縛られるのが嫌で、大きなお金を稼ぎたかった彼は、サラリーマンから自営業に転身したのです。

ところが、経営が上手くいきかけた時に、会社の仲間との金銭トラブルが原因で事業に失敗。多額の借金を背負い何年も不自由な生活を余儀なくされたこともありました。

そんな彼が、今回、再び正社員になったのは、社長からの熱烈なラブコールと、収入面の大幅なアップ、優遇された勤務体系、そして、仕事のやり方についても、社長から「君のやり方で自由にしてくれたらいい」と言われ、彼にとっては絶好の条件が提示されたからでした。

しかし、入社してみると、Aさんによる嫌がらせが始まり、またしても窮屈な状況に陥ったのです。

なぜ自分がこんな目に遭うのか？そのメカニズムを知る

Fさんの人生を俯瞰してみると、不自由な状況に抱く“不足感”をバネにして自由を求めますが、自由を求めれば求めるほど、背後で膨らんだ“不足感”が目の前に“反転”し、不自由な状況をつくり出すという“パターン”を繰り返していました。

今回は、社長の激励もあり、気持ちが大きく“自由”に傾いたことで、目の前に“自分の枠にはめようとする”Aさんが現れ、人間関係で不自由さを感じる状況をつくり出したのです。

さらにFさんは、もっと奥深く自分の無意識を知ることができました。Aさんに感じていた“自分の枠にはめようとする行為”は、実はFさん自身が“自分自身にしている無意識の行為”だったのです。

Fさんは、“自分の自由にやれている”と思っていました。しかし、そのやり方は、不安や恐怖を隠し持っている今までの考え方の延長線上であり、要するに、自分の“思考の枠の中”に自分自身を閉じ込めていたのです。

なぜ自分がこんな目に遭うのか…その“メカニズム”が腑に落ちたFさんは、その瞬間、爽快感が全身を駆け抜けたと言います。心の中にずっとあった未消化なモヤモヤが消え、肩の力が抜け、本当に身軽になれたそうです。

職場の人間関係が激変し、業績が桁違いにUP

すると、あのAさんが別人のように変容したのです。Fさんに対する嫌がらせは完全になくなり、今では営業用の資料まで用意してくれる関係性になりました。

また、Fさんの内的な変化に伴い、業績も桁違いで伸びていきました。なんと、今までのように頑張らずとも、彼の意識の中にあった仕事が勝手に舞い込むという信じられない事が起こりだし、実績は前年に比べて、社員全員が驚く数字で推移しているそうです。

いかがでしたか。人間関係の良し悪しは、人生を幸せにも不幸にもします。しかし、その大元は自分自身との関係性です。目の前の嫌な相手もあなたにとっては大切なキーマンになるのです。

（終わり）