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嫉妬は本当のあるがままの自分に戻る根源の感情【前半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.60


Introduction

人間にはいろんな感情がありますが、なかでも最もありふれた感情でありながら自分でコントロールできないものが “嫉妬” ではないでしょうか。嫉妬は大衆社会が退廃していく最初のきっかけとも言われています。

旧約聖書(創世記)でも、人類の祖 “アダムとエバ” の子供のカインが嫉妬に駆られて弟のアベルを殺害しています。たとえフィクションだとしても、人類最初の殺人事件の原因が嫉妬というところに人間の性(さが)を感じずにはいられません。

なぜ人間は嫉妬するのでしょうか。嫉妬とは、自分と他者を比較し、自分が欲しいものを持っている相手のことを快く思わない感情です。これは “自分以外は他者である” という認識を持ち始める生後約5か月の乳児にすでに見られるそうです。このことからも、嫉妬とは、私たちが生まれて初めて体験する人間関係の “親と子の関係性” のなかで発生する根源的な感情といえるのではないでしょうか。

しかし、それも “この世のシステム” を知らないがゆえに取り込まれた “関係性のトリック” のなかで生まれた感情です。そして、嫉妬は憎しみや悲しみ、怒り、自己否定、疎外感…と、さまざまな感情に形を変えて私たちの人生に影を落としています。

今回は、嫉妬を通して関係性のトリックを見破り、思いどおりにならない人生をリセットし、全く新しく生き始めた男性(Nさん)の体験をご紹介します。

『嫉妬は本当のあるがままの自分に戻る根源の感情』【前半】

自分の居場所が無かった少年

Nさんの家庭環境は、喫茶店を営む両親に、姉と弟の5人家族。男の子が欲しかった父にとって待望の長男でした。Nさんが生まれたときの父の喜びようは姉が生まれた時とはまるで異なり、扱いも全く違ったそうです。

そんな父のことを姉が快く思うわけがありません。彼女は、生まれた時に “女である” というだけで残念がっていた父の姿をどこかで覚えていたのでしょう。時折、「男の子がいいなあ」と言う父を見て、“自分は望まれて生まれてきた子供ではない” と思っていたかもしれません。彼女にとって、自分から両親の愛を奪ったNさんは憎い存在でしかなく、彼は執拗な嫌がらせを受けていました。

ところが、やがて彼にも弟が生まれます。その日を境にして、今まで自分に向けられていた両親の視線は、突然弟に向けられるようになりました。特に母の愛情を全て奪われたと感じたNさんは弟に強烈に嫉妬すると同時に、“自分は母から愛されていない” と思い込むようになります。

「ぼくだけを見ていてほしい」「ぼくだけを愛してほしい」

無意識の心の叫びとともに、彼はどんどん孤独の淵に追い込まれていきました。姉からはいじめられ、母に甘えることもできず…家にいても自分の居場所、心の拠り所はありませんでした。

家の外では活発……しかし嫉妬の的に

そんなN少年も、家の外では活発な子供でした。

「みんなの注目を集めたい」「周囲を自分の思い通りにコントロールしたい」「興味のある女の子をこっちに向かせたい」

保育園の頃からそういう願望を持っていた彼は、実際に女子の人気を集めていました。しかし、それに強烈に嫉妬する友達から嫌がらせを受けるようになります。小学生になると嫌がらせはさらにエスカレートし、年上の子供たちからも目を付けられるようになり、中学生の時には他校の生徒からも嫌がらせを受けるまでになっていました。

正義のヒーローを演じて

それでも彼は “やられたらやり返す” ということは絶対にしませんでした。なぜなら、小学生の頃から父に “喧嘩はするな” と言われ、姉からも “男はこういうものだ” と言われ続けてきたため、彼の中に “男とはこうあるべきもの” というこだわりが根づいていたのです。彼は自分の中の女々しさや悪を無意識のうちに忌み嫌い、それを隠して “正義のヒーロー” を演じるようになっていました。

学校内でも校外でも、自分を待ち伏せする者から逃げ続けなければならない生活は本当に苦しいものでした。その苦しさは、大人になってからもなお、学生服を着た者たちに追い回される夢にうなされるほどでした。

そんな世界から彼を救い出してくれたのは音楽との出会いでした。それまで親しい友人もいなかった彼でしたが、音楽を通して仲間ができ、次第に嫌がらせを受けることもなくなっていきました。

可能性を奪っていく“思考”

しかし、安心していたのもつかの間、高校に入ると再び新たな悩みが表面化してきました。それは、長男であることへの責任でした。

「音楽の道に進みたいけれど、家を継がなければならない。もし自分が家業を継がないと言ったら、親はどう思うだろうか。親の期待を裏切るようなことは絶対にできない」

両親に頼まれたわけでもないのに、家業の喫茶店を継がなければならないと思い込んでいたのです。

彼を追い込み、縛りつけていたのは、他でもない彼自身の思考です。幼少期の寂しさがつくりだした “自分は愛されていない” というコンプレックスから生まれた “親に愛されたい” という無意識の願望が彼の可能性を奪っていました。

心の葛藤があらゆるところに

もし彼が “自分が自分を苦しめている” という矛盾を客観的に見ることができたなら、これほどまでに悩むことはなかったでしょう。しかし、この世のシステムを知らない人間が最もわからないもの、それが “自分” なのです。

“望まない家業を継がなければならない” というプレッシャーのせいで大好きな音楽を楽しむこともできなくなりました。そんな心の葛藤は弦を掻きむしる音として、ギターの音色にも表れていました。

やがて彼は自分の体までも掻きむしるようになり、突然、アトピー性皮膚炎になってしまいました。それでも音楽を続けますが、今度は過去のトラウマが彼の前に立ちはだかります。

「自分が目立つことをすれば、必ず誰かが潰しに来る…」

逃げまどっていた過去の苦しい記憶がリアルによみがえり、再び恐怖が襲ってきました。音楽の先生に認められれば認められるほど、彼は表現する自分を抑え込むようになりました。そして、全く身動きが取れなくなるまで自己評価を下げていったのです。

それからというもの、人間関係や環境が変わっても、Nさんは自分の思い通りに動くことができなくなりました。精神的に追い込まれるなかで、彼はある日、皮膚炎の治療を始めたことがきっかけで “ミロスプログラム” という人生を初期化し、蘇生させるシステムに出会います。そしてこの後、彼の人生は大きく転換していくことになります。

(シリーズ後半へつづく)

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