先週に引き続き、子供の頃の親子関係でつくられた“誤った思い込み”からおかしくなってしまった人生を、ミロスシステムでリセットし、大きく変容した人の体験をご紹介します。
人生に悩みや問題のある人をカウンセリングすると、ほとんどの方が親とうまくいかなかった過去を持っています。
一般的にも、子供時代の親子関係がその後の人生に大きく影響すると言われていますが、実はその親子関係さえもつくり出している根源的な原因が人間の内面に隠れているのです。
今回ご紹介する実証例は、人生の窮地に立たされたある女性(Kさん)が、ミロスシステムにより、驚くほど短期間ですべての問題を終わらせ、人生を再生させた体験です。彼女の体験に基づき、根源的な原因に触れていきます。
『八方塞がりの人生が一瞬にして再生していく驚異』
八方塞がりの人生
毎日のように繰り返す激しい夫婦喧嘩に、それを見て泣き叫ぶ子どもたち。至らない母親だと自分を責めても、夫への怒りは収まりませんでした。
夫婦仲はどんどん冷めていき、ちょうど同じ頃、3歳の長男の喘息が悪化し、そのことも夫婦喧嘩の火種になっていました。
そして、ついには2歳の長女までもが喘息を発症し、育児に、家事に、仕事にと、こなすだけでも大変な日々を送っていました。
さらには、姑からことある毎に厳しい事を言われ、そんな苦労を実家の母に話せば「あなたは嫁いだのだから」と冷たくつき離されてしまう。また、職場でも上司とうまくいかず、ろくに口も聞いてもらえない状態が続いていました。
精神的にも肉体的にも限界に・・・
誰の応援も得られず孤立した状況の中で、少しも気の休まる時がなかったKさんには、子どもの声に耳を傾ける余裕などありませんでした。
喘息の苦しさや不仲な両親の間で、情緒的に不安定になっていた長男の言動に困り果て、感情的に怒ってしまう自分と、ニュースで報道される幼児を虐待する母親が重なるほど、危機感を抱くようになっていました。
なす術もなく、同じ事を繰り返す毎日に、Kさんは精神的にも肉体的にも疲れ果てていました。そして、とうとう彼女の体調面にも異変が現れ出したのです。
理由なく突然襲ってくる不安感に、ひどい頭痛と立ち眩み、動悸、息切れ、激しい眠気など、日常生活にも支障をきたすようになりました。そして、わが子に笑いかけることすらできなくなった時、限界を感じて訪ねたあるクリニックで、ミロスシステムに出会ったのです。
幸せを感じられなかった子ども時代
Kさんは、自分の人生をシステムに当てはめることで、どうしてこんな人生になってしまったのかを知っていきました。
彼女が育った家庭環境は、幸せを感じられるものではありませんでした。父は、身勝手で家庭を顧みず、自分のためだけにお金や時間を使い、ほとんど家にいない人でした。そして、いつも母に高圧的で、一方的に怒る父のことが許せませんでした。
逆に、母は頑張り屋で何でもできる人でしたが、それゆえに家のことを全て一人で背負い、苦労の絶えない人でした。
自分のことは後回しにして、身なりもかまわず、家族のため、子どもたちのためにいつも頑張っていました。
人の顔色を伺って生きていた
しかし、そんな母でも、父と衝突するたびに、「あなたのお父さんと結婚するつもりはなかった…」と愚痴をこぼしていました。
Kさんは、母からその言葉を聞かされるたびに、父と母から生まれてきた自分の存在を否定されたように感じていたのではないでしょうか。
彼女は母に愛されたくて、無意識に母に褒められるにはどうしたらいいかと考えるようになっていきました。
そして、母からどう思われるかが彼女の生き方の基準になり、大人になった今でも他人にどう思われるかを常に気にして生きていたのです。
両親を“反面教師”にして
また、彼女は、母のような自己犠牲的な生き方はしたくない、後悔するような結婚はしたくないと思っていました。そして、母を苦しめる父のような人とは絶対に結婚しないと決めていました。
Kさんは、母の生き方を否定し、父を嫌い、自ずと両親を“反面教師”にして、生きていました。
この世界のトリックにかかっていた
しかし、実はその生き方自体が大きなトリックにかかっていたのです。
この世界では、欠乏感や不足感をバネに幸せを求めても、必ずバネにした欠乏感が表に“反転”するため、自分が求めた世界とは逆の世界を見ることになります。
自己犠牲的な生き方
結局、Kさんは、反面教師にした両親の関係性を自身の結婚生活で追体験することになり、母のようにはなりたくないと思っていたにもかかわらず、同じように自己犠牲的な生き方をしていました。
そして、幸せを求めれば求めるほど、根底にある自己否定が増長し、家族はおろか職場の上司からも認めてもらえないという人間関係をつくり出していたのです。
父母には内面の両極の性質が映っていた
彼女が最も驚いたのは、そんな人生が、“自分が”父をどう見たか、母をどう見たかで始まっているということでした。
身勝手な父も、自己犠牲的な母も、一方的に怒る父も、閉ざしてしまう母も、実は彼女の内面にある両極の性質であり、それを父と母に映し見てジャッジし、両親を否定していたのです。
Kさんは、この世界のシステムを知らずにいることがすべての問題の根源的な原因であり、自分にも家族にも何も問題はなかったことを知りました。
劇的な変化が訪れて・・・
すると、彼女の環境はみるみる変わっていったのです。
夫への愛情が復活し、夫婦喧嘩もいつの間にかなくなり、会話を楽しめるようになっていました。子どもたちの病気も劇的に回復し、今ではのびのびと元気に育っています。
あれほど悩まされた人間関係もすっかり変わり、心身共に健康を取り戻したKさんは、今、自分の意思で生きる人生の素晴らしさを十分に楽しんでいます。
内面が反転し映し出された世界
いかがでしたでしょうか。人生がうまくいかないなら、両親や自分を育ててくれた保護者を通して、自分の内面を知り、すべてが自分であることが分かった時、世界は変わっていきます。
Kさんのように八方塞がりの人生でも、非常に短期間でスムーズに変わってしまうのは、我々が“現実だと思っている世界”は、実は自分の内面が表に反転し、映し出された世界であることを証明しているのではないでしょうか。
(終わり)