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人生の酸化も還元! 〜自分に素直に、後悔のない人生を生きる

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.182


Introduction

みなさんは、酸化と還元反応という自然界の最も基本的な法則をご存じでしょうか。酸化による物質の劣化や、人間の身体の老化も、酸化と還元反応の過程の中で起きています。

そして、これは物質に限ったことではなく、私たちの人生においても、うまくいかないこと(酸化状態)と、順調なこと(還元)が繰り返されているのです。

今回ご紹介する実証例は、一年の間に夫をガンで亡くし、自身もガンを宣告されたある女性(Iさん 60代 岡山県)が、ミロスシステムによって、絶望的な境地から、生きながらにして全く新しい人生に還元、再生した体験です。

『人生の酸化も還元! ~自分に素直に、後悔のない人生を生きる』

死に直面する体験

昨年は、Iさんにとってこれ以上ない激動の年でした。年明け早々に、夫がガンで余命半年であることを知り、その半年後に夫を亡くし、一年も終わりに近づいた頃、自身もガンにおかされていることがわかりました。

幸いガンはごく初期の段階で、手術により無事摘出することができましたが、ガンと聞いた途端にとてつもない恐怖に襲われ、死に直面した者の絶望的な気持ちを味わったIさんは、自分も経験してみて初めて、今は亡き夫の気持ちを知ることができたのです。

夫の病気がきっかけになり

本当は心細かっただろうに、家族を心配させまいと気丈に振る舞っていた夫のことを思うと、今更ながら、どんな時も弱音を吐かず、人のため、家族のために生きた夫の生き様が思い出され、そこに男の強く大きな愛を感じました。

そして、家族全員でミロスを学び、確執はなくなってはいたものの、互いに相手のことを思うが故に生まれる遠慮の壁が、夫の病気をきっかけにして一気に取り除かれ、全員が素直にあるがままの自分を表現し、愛を伝えられるようになったことを改めて感じました。

その家族の光景は、誰よりも夫が一番望んでいたものであり、その頃には、夫の中にはもう死への不安はなく、最後は、ただただ家族が本当に一つになれたことを喜び、感謝の中で肉体から離れていきました。

“生きる”ことを決断した

Iさんは思いました。

「夫は納得してこの世を去っていったけれど、私は今こうして生きている!」

彼女は長い眠りから目が覚めたように、今まで“生きていること”に無関心だったこと、健康でいることが当たり前になっていたこと、命には限りがあることを忘れて、やるべきことを先延ばしにしてきたことに気付きました。

そして、体の奥から、森羅万象のしくみの中で“生かされている”ことへの感謝と喜びが湧き起こり、本当の意味で“生きる”ことを決断したのです。

死というものに直面した時

人は死というものに直面した時、死を否定し、恐れ、怒りや後悔など色々な感情を経験しながら、最終的には死を受け入れる方向へと向かいます。しかし、人生がもうすぐ終わるという時に、

「もっと勇気を持って自分に正直な人生を送ればよかった」「誰かの期待に応えようとするのではなく、自分の思うままに人生を送りたかった」

と後悔する人が多いのです。たくさんの夢を実現できなかったことや、自分の選択が誤っていたことに気付くのは、本人も残される家族も寂しく虚しいものです。

新しく生きなおすチャンスに変える

しかし、ミロスシステムを学んでいたIさんは、夫の死や自身の病を通して「死と生」に真っすぐ向き合い、今まで何十年も逃げ続けてきた“生き方”を終わらせ、新しく生き直すチャンスに変えました。

「私はこの肉体を持って生きていく!」

生まれ直したIさんは、新たな境地からこれまでの人生を見直した時、そこには今まで自分が見てきたものとは全く違う世界が広がっていました。

歪んだ思考が問題をつくっていた

子どもの頃からずっと苦しんできた身内の人間関係も、その根底にあるものは、自分を愛して欲しい、認めて欲しいという誰もが持っている欲求であり、互いに愛し愛されたいという思いを持ちながら、歪んだ思考が誤解を生みだし、問題を作り、深刻なものにしてきたことがはっきりと見て取れたのです。

愛を取りこぼし、自分を否定し、認めてくれない相手を憎み、意地を張り、自分を正当化して生きる人生が、なんと未熟でちっぽけなものかと、Iさんは思いました。

複雑にしているのはこの自分であり、ただ素直に表現すればよかったのだとわかったら、今まで抱えてきたあらゆる抵抗感が自分の中から消えていき、これまで自分から遠ざけていた人たちも、愛おしくかけがえのないものに思えたのです。

人間関係の確執が消える

すると、まだ終わっていなかった親戚との人間関係にも変化が起こり出し、今までの確執がまるで嘘のように向こうから歩み寄ってきました。一番嫌われていると思っていた相手ほど、自分のことを愛してくれていたことには彼女も驚きましたが、人生に愛や感謝を感じだしてから、何もかもがまったく新しく塗り替えられているのです。

父も母も、私を愛してくれていたのだ。そして、夫も…。

そう思った瞬間、涙があふれだし止まらなくなりました。自分の思いがけない反応に、夫への想いに気付かされたIさんは胸がいっぱいになりました。

本当の人生を楽しみ出した

夫が亡くなってから、「私は一人でも大丈夫、これでよかったのだ」と自分を納得させているところがありましたが、もうその必要もなくなりました。夫が、愛そのものの形で自分の中に戻ってきたからです。

素直に愛おしさを感じ、寂しさを感じ、恋しくて…会いたい、大好きだと言える彼女の人生は、本当に豊かなものに変わってしまいました。生きることの素晴らしさを心から感じ、自分に正直に、素直に、思うままに…、一度しかない本当の人生を楽しみだしたのです

(終わり)

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