誕生してから人生に幕を下ろすまで、たくさんの出会いと別れがあり、その中で人間は様々な関係性をつくり、いろんな体験をします。

前回より、人生で遭遇する問題を“関係性の病”としてお伝えしていますが、どんな関係性にも仕組みがあり、それを理解することで、悩みや問題から最短距離で抜け出すことができます。

シリーズ後半は、幼い頃から様々な関係性に苦しんできたSさんが、ミロスシステムを知り、関係性がつくられる仕組みを理解し、人生をリセット、再生していく様子をお伝えします。

『人生における “関係性の病” とそれを超えるシステム』（シリーズ後半）

幸せではなかった家庭環境

複雑な家庭環境の中で神経をすり減らせ、しばらく精神科に入院していたSさんは、退院後、家を出ることを決意し、親元から離れて暮らし始めました。環境を変えて、新たな人生をスタートしたつもりでしたが、またもや関係性に悩まされます。

この世界は、人間の内面が表に“反転”し、目の前に映し出される世界。仕事や遊び、恋愛に…と、自由な生活を楽しんでいましたが、その内面には、精神を病んだ母への抵抗感、母を苦しめた父への憎しみ、幸せではなかった家庭環境など、マイナス的な要素を隠し持っていました。表向きには何も問題のない彼女でしたが、内面に抑圧された闇が、目の前の関係性に映し出されていたのです。

しかし、当時の彼女は、そんな仕組みがあることも知りません。プラスへ向かうことで無意識のマイナスが表に“反転”し、マイナスの現象をバネにしてプラスへ向かう…という繰り返しの中で、マイナスは増幅し、関係性の病は重症化していきました。

母が自らの命を絶つという悲しい出来事が起こり、母を救えなかったことを責めた彼女は、一生、十字架を背負って生きることを決意しました。そのネガティブな決意は思い通りになり、その後、結婚した彼女は、まるで罪滅ぼしをするかのように、夫のアルコール依存やDVに苦しめられたのです。

無意識の奥に抑圧した強烈な想いが…

幼少期の両親の別居に始まり、父や母と離れて暮らした寂しい生活、精神科への入院、突然の母の死、夫婦関係の決別、そして、自分も自ら命を絶とうと考えたこともありました。彼女の人生には「離れる」「別れる」「引き裂かれる」という出来事が繰り返し起きていました。

その苦しみから逃れたくて、宗教や精神世界に「一つ」や「融合」の世界を求めましたが、納得のいく答えはありませんでした。なんとかしようと足掻けば足掻くほど状況は悪化し、子供を連れて夫から逃げ出そうとしていた時、ミロスシステムに出会ったのです。

関係性は、自分が何かに傾くことで、無意識のもう片方が表に“反転”し、成立します。自立したSさんの前に、何にでも依存する男性（夫）が現れたのも仕組み通りでした。一見、彼女は夫の依存症やDVの被害者に見えますが、夫の病的な依存症は、子供時代に急激に自立せざるを得なかったSさんが無意識の奥に抑圧した強烈な“依存願望”であり、また、暴力を振るう夫は、父と母から愛されることをあきらめた彼女が内面に閉じ込めた“私だけを見て欲しい”“愛して欲しい”と叫ぶ無意識の自分の姿だったのです。

理解したことで、葛藤が消え去った！

関係性の仕組みを知り、これまで取り込まれていた関係性から離れ、初めて客観的に見たとき、相手に感じていたものが、自分の内面であることを知りました。そして、自立と依存というまったく違うものだと思っていたものが、実は同時に存在している“ペア”だった…という相対のトリックは、本当に衝撃的だったそうです。

そして、今まで相対の二極にそれぞれマイナスとプラスのエネルギーを持たせ、善悪や優劣をジャッジしてきましたが、どちらが良いも悪いもなく、片方がなければもう片方は存在できないという相補関係を理解したことで、彼女の中から葛藤が消え去りました。

長い間、「融合」という世界を探し求めてきたSさんは、もともと何も離れていなかったことを知り、本当の理想郷が自分の中にあったことを知ったのです。分離感は消滅し、「一つ」に戻れた充足感、安堵感に包まれ、本当の“命”を吹き込まれたように全身に熱いものが流れました。

相対を超え、関係性を超え、反転しない世界に突入した彼女は、本当の自分を取り戻し、無意識に支配された人生から抜け出し、意識的に、思い通りの人生を創造しています。

人生にはいろんな事が起こります。時には大きな岐路に立たされたり、どうにもならない出来事に出会うこともあるでしょう。しかし、ミロスシステムはあらゆるシーンに対応する実践法です。誰もが自らの力で思い通りの豊かな人生をつくり上げていける、究極の答えなのです。

（終わり）