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コミュニケーションの根源的な目的は”自分を知ること”【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.14


Introduction

前回のシリーズ1では、実は人間は良好なコミュニケーション作りに最も重要な“聴く能力” を持っていないことをお話ししました。

もともと相手の意見に対して “自分のものではない異物” として抵抗感を持つことや、常に自分の価値観でジャッジして自分の都合のいいように変換すること。また、相手に対して持っているイメージが邪魔をして、今話している相手の真意が受け取れないこと。その他にも、話を素直に聴くことができない主な要因をいくつか挙げました。

普段の生活でも緊張感のあるシーンでも、いかに自分が相手の話を聴けていないかに気づかれた方は少なくないのではないでしょうか。

シリーズ第2回では、もう少し具体的なケースを見ながら “コミュニケーションとは何か” についてお話ししていきます。

『コミュニケーションの根源的な目的は “自分を知ること”』

例:悩む人の口癖 自分に何を与えているか

以前、知人の男性から商売の相談を持ちかけられたときのこと。私が答えを話しているのにその人は「でも……」「そんなことを言っても……」となかなか受け入れようとしませんでした。助けを求めてやって来たのに素直に受け取らない。溺れかけているのに救助隊の手を払いのけているような状態に、本人は気づかないのです。

悩みを抱えている人ほど人の話を聴かない傾向が強く、強いこだわりを持っています。その思考が自分を縛りつけエネルギーを滞らせているのですが、そのことに気づかず、ずっと同じ不満や不足感を話します。その知人の口癖は「うまくいかないなあ、商売はキツイなあ」

そうやって自分に対していつも語りかけているから、暗示にかけられたように彼にはそういう世界しか見えません。ショックな話ですが、実は、不満ばかり言っている人は “うまくいかない人生” が好きで、そこから抜け出そうとしないのです。もし、彼が客観的に自分の姿を見て自分の声を聴くことができたら、自分の “おかしさ” に気づき、今までの生き方をやめるでしょう。

例:傷に触れあうコミュニケーション

また、こんなケースもあります。子供の躾のことになるといつも喧嘩になる夫婦がいました。お互いに躾について “こだわり” を持っているため、相手に口出しして欲しくないわけです。

夫婦は色んなことで主導権争いをしますが、第三者から見ると夫も妻も同じことを言い合っているように見えます。でも、本人たちにとっては自分の言葉と相手の言葉が違うため、同じことを言っているとは思えません。互いに自分の考えが正しいと主張し相手を納得させようとします。そして、特に意見が対立したときは、相手の言葉が自分の心の傷にズバッと触れるため感情的になり、どんなに話しても部分でしか聞けず、言い争いに発展してしまうのです。

過去につくられた思考観念

自分の価値観やこだわり、心の傷、相手のイメージ……。過去につくられた思考が真実を見えなくし、聴こえなくしています。もし、そんな思考が外れたら、人間はどれほど楽に生きられることか。しかし、自分がどんな思考観念を持っているのか、残念ながら自分では知ることができません。

なぜなら自分の “考え” が “自分そのもの” になっているため、人間は自分のおかしさに気づけないのです。では一体どうしたらいいのでしょうか。そこで、この夫婦のその後の変化がヒントになります。 

例:実践による夫婦の変化

言い争うのに疲れた二人に、しばらく冷戦状態が続きました。最初のうち、相手に言われた言葉と、それによって生まれた自分の感情に胸がえぐられるような息苦しい時間を過ごしましたが、客観性が出てくると “あること” が見えてきたのです。

相手から言われた言葉は一番自分が言われたくないことであり、傷つくこと。つまり、自分の大嫌いなところであり、隠している心の傷に相手が触れてくるから報復し合い、夫婦喧嘩になっていたのです。結局は、自分に傷がある限り相手の話は聴けないし、葛藤は終わらない。しかし、その傷を終わらせることができるのが“夫婦の関係性” なのです。

どちらも同じだった

普通なら夫婦喧嘩が度重なると夫婦関係に溝ができますが、この夫婦は私の伝える “この世のトリックとシステム” を知っていたため、軌道修正することができました。妻は、今まで夫と子供の関係に感じていたものが“自分の傷” であることを知り、夫も同様に、妻と子供の関係に感じていたものが “自分の傷” であることを知りました。二人とも子供のことを愛し、真剣に考えているからこそ自分の考えを譲れなかっただけで、本当は初めから同じ方向を向いていたのです。

互いを自分として受け取り合う

それ以来、夫は仕事のことも妻に相談するようになり、妻のアドバイスを自分に必要な答えとして受け取るようになりました。会社の諸問題も妻に話し、その問題は今まで気づかずにいた自分たちの問題として認めるだけで、翌日にはその問題は無くなり、それどころか夫にとって良い方向に環境が整っていったのです。

妻の方も自分の中にあった子育て法を手放し、夫の意見を “自分が知りたかった答え” として取り入れるようになりました。こうしてコミュニケーションの形が変わると子供の様子もどんどん変わり、今まで頑張っても変わらなかった現実が、今では理想の人生が向こうからやってくるような全く新しいライフスタイルに変わってしまったのです。

もう一人の自分が人生を変える「鍵」

コミュニケーションの根源的な目的は “自分を知ること”。自分と関わる人たちは自分にとってなくてはならない大切な “もう一人の自分” です。毎日、様々なシーンで色んな人たちと出会う中で、相手の言葉を “どう聴くか”、“どう受け取るか” が人生を飛躍させる「鍵」になるのです。

(シリーズ終わり)

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