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なぜいじめは起こるのか?いじめが起こるシステムを理解する【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.4


Introduction

いじめの報道が盛んになるにつれて、今度は加害者に対する糾弾が激しさを増しています。まるで社会全体が被害者と加害者の関係性を入れ替わりながら体験しているかのようです。

前回、親と子供の関係性が「いじめ」という形で表れることをお伝えしました。簡単に復習すると、次のような内容になります。

「子供が言うことを聞かないとき、親は彼らの“行為”に善悪のジャッジをして『悪い子』だと言って叱る。反対に、言うことをきく子、コントロールできる子は『良い子』として褒める。そうやって、躾という名のもとに子供の“存在”とは全く関係のない“行為”によって、良い子・悪い子のレッテルを貼っていく。

一方、子供のほうは、親に褒められれば『自分は愛されている』と安心し、叱られると『愛される価値がないんだ』とまで思い込んでしまう。子供がどんなに明るく活発に振舞っていても、逆におとなしく引きこもりがちでも、心の奥底にどんな強烈な自己否定を持っているか計り知れない。そして、同じ質の自己否定を持つ二人が磁石のように引き合うと『いじめ』という関係性に発展する」

今回はより具体的な例を挙げて、この「いじめる側といじめられる側の関係性」が明らかにされます。

『なぜいじめは起こるのか?いじめが起こるシステムを理解する』

なぜ相手をいじめたくなったのか

前回、同じ質の自己否定を持つ二人が磁石のように引き合うと「いじめ」という関係性に発展するとお話しました。分かりやすいように、ひとつ例を挙げましょう。

ある日、同じ性質の自己否定を持っている子供が学校で出会ってしまいました。一人は自分を否定し、自信がないまま生きている子供。もう一人は自己否定をバネにしている活発な子供。同じ自己否定というひとつのエネルギーが、表面上、マイナスとプラスに分かれたような感じです。そして、活発な子が自信の無い子をいじめたのです。

では、どうして活発な子は相手をいじめたくなったのでしょうか?それが今までわからなかったいじめの原因です。実は、この活発な子は自分の中に“強烈に嫌いな自分”を持っており、その「見るのも嫌な自分」を相手の子供に感じてしまうために、無性に攻撃したくなるのです。

まさか、相手のものだと思っていたものが、自分のものだとは夢にも思いません。私たちはそれほど、自分が強烈に嫌っているものを心の奥底に追いやり抑圧して、自覚の無いまま生きているわけです。

相手を通して感じてしまう “もうひとりの自分”

例えば、もたもたして支度に時間がかかることを親に度々叱られ、それをバネにしてテキパキ要領よく行動できるようになった子供は、自分の目の前にもたもたしている子が現れると無性にイライラします。最もダメな自分や、親に叱られた時の辛かった感情や罪悪感など、自分のマイナス的なものを相手の子供を通して感じてしまうため、見ているだけで腹が立つというわけです。

子供の「いじめの理由」が、なんとなく気に入らない、気持ち悪い、見ているだけでムカつく、ワガママだから…など、曖昧なものが多いのも、自分では自覚していない嫌な自分を見ているからだと言えます。

互いを引きつけ合う

また、いじめられる子も自分で自分を否定し、いつも自分をいじめています。この「自分自身との関係性」が実生活でも目の前に「いじめる子」を引き付け、「いじめられる関係性」をつくっているのです。

関係性のシーソーゲーム

ところで、非常に悲しいことで起こってはならないことですが、いじめられた子が自殺したとき、2人の関係性はどうなるのでしょうか?今度は両者の立場が逆転してしまうのです。どういう意味かというと、今までいじめていた子が、相手の子供が自殺したことによって、一生涯、十字架を背負うことになるということです。

いじめられる子もいじめる子も、そのエネルギーの源泉は同じ「自己否定」です。誰かをいじめるという事がどういうことなのか、また、どうしていじめられなければならないのか…その根本的なメカニズムがわかれば、人間の心の中にいじめの存在しない社会がつくられていくのではないでしょうか。

いじめは終わる

私の研究所には、いじめで苦しんでいるお子さんや先生から体験談が多数寄せられています。ある子供が、自分を否定していたことに気づいた瞬間からいじめられることがなくなり、今では友人たちの間でカウンセラー的な存在になっているという報告例や、学校の問題に悩む教師が、いじめが起こるメカニズムを子供たちに話したところ、いじめのみならず暴力事件や不登校までなくなり、それまで不良と呼ばれていた子供たちもすっかり変わってしまったという報告例もあります。

このように、人間関係をはじめとして、私たちが見ているあらゆる事象は表面的なものであり、それをつくりだしているものが奥に潜んでいます。それを“関係性のシステム”として理解したとき、それまで続いていた問題は一瞬で終わり、全く新しい人間関係が始まります。

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